●スケープ=ゴート
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『旧約聖書』によれば古代イスラエルでは,人間の罪を山羊に負わせていけにえとして神にささげ,それによって部族が救われるという習わしがあった。フラストレーションによって引きおこされた敵意や攻撃は,防衛機制としての置き換えによって本来の対象よりも力の弱い対象,あるいはかねてから憎しみを抑圧していた対象に向けられることがある。この現象を悪玉化または罪のなすりつけといい,攻撃の代理的対象とされるもの(人または下位集団)をスケープ=ゴートと呼んでいる。ドラードとミラーらは,人種的偏見についてフラストレーション攻撃仮説を提唱し,人種的少数集団が,しばしば人種的多数集団のフラストレーションの結果生じた攻撃性の身代わり集団にされる,と説明する。第二次世界大戦中に,ナチス=ドイツのヒトラーが民衆のフラストレーションをユダヤ人への憎悪や攻撃に転嫁したことは,一つの歴史的事例とみなされる。