●過ぎし歳月の物語 すぎしさいげつのものがたり
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『原初年代記』,ときに『ネストルの年代記』とも呼ばれる。最初の原型は1037年にでき,その後幾人かの年代記作者により増補され世紀末には集成されていたが,1110年にキエフの僧ネルストが追加編集し直し現在の形になったと考えられている。その構成は複雑で,聖書のノアの子たちによる世界の三分割・スラヴ民族の成立・852〜1110年間の古代東スラブ民族の歴史と風俗・ロシアの建国・公たちの外敵との戦いと内訌・キリスト教受容の経緯・聖者伝・伝説・昔話などが興味深く物語られている。原本は失われ,現在伝わっている古本は『ラヴレンチー年代記』(1377)『イパーチイ年代記』(14世20年代)に収録されている写本である。東スラヴ人の歴史についての最古の貴重な文献であるばかりでなく,当時の口語に近いことばと簡潔な文体で書かれた文学的にも優れた作品である。