●スウィフト
ヨーロッパ 英国 AD1667 後期スチュアート朝
1667〜1745 イギリスの諷刺作家,ダブリンの聖パトリック教会の首席司祭。ダブリンに生まれたが,トリニティ=カレッジを出たのちイングランドに渡って,政治家のウィリアム=テムプルの秘書をつとめた。思想的に,彼は初めはウィッグ党を支持していたが,のちにトーリー党に転向した。その後,アイルランドに帰って聖職につき,ウィッグ党政府のアイルランドに対しての圧迫に抗議して『ドレイピア書簡』(1724)や『貧民児童利用策私案』(1729)を書いた。彼のおもな作品には近代の文芸を愚弄した『書物合戦』(1704),キリスト教会の歴史を寓意で諷刺的に述べ,当時の政治・宗教・学問に鋭い論鋒を向けた『桶物語』(1704),当時流行していた航海記の形式を用いた『ガリヴァー旅行記』(1726)などがある。なかでも『ガリヴァー旅行記』はイギリス諷刺文学の最大傑作で,四つの旅行記から成るこの本の前半の小人国・大人国の二編は子供の読み物として親しまれているが,よく読めば人間に対する痛烈な諷刺で,後半になるほど辛辣さを増していく。彼の諷刺は生やさしい小手先だけのものではなく,自分自身をも含めていっさいの人間に対する苛烈な批判が込められていて,洗練された簡潔平明な文体の下には燃えるような激情が隠されている。〔参考文献〕中野好夫『スウィフト考』1969,岩波書店
中野好夫訳『ガリヴァー旅行記』岩波書店
深町弘三訳『桶物語・書物合戦』岩波書店
![]()