●水滸伝 すいこでん
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中国の長編小説。「四大奇書」の一つ。北宋の末期,宋江を首領とする盗賊団が,山東の湖水の砦,梁山泊にたてこもって官軍を悩ませ,のちに朝廷に帰順して,江浙地方におこった賊の方臘を討つという武勇物語。作者は元代の施耐庵あるいは明代の羅貫中といわれるがはっきりしない。施耐庵の原作を羅貫中が改訂したという説,また施耐庵は架空の人物であるという説もある。主人公の宋江は正史である『宋史』にも記述がみえるが,物語の内容はそれを離れてかなり独自である。南宋時代すでに宋江ら36人の豪傑の物語が講談や戯曲にとりあげられているが,元代の講談台本である『宣和遺事』(作者不詳)にはそれらがまとめられている。水滸伝の骨子はこれとほぼ同じであるが,内容ははるかに豊富で,宋江ら36人の豪傑は108人にふくれあがっている。いくつかの物語が削られ加えられて今日の形にまとめられたのは明代初期と考えられる。水滸伝には版本が多い。最も原初的なものは100回本で,方臘平定までを描いたもの,120回本はこれに田虎と王慶の反乱の討伐を加えたもの,このほかに110回本・115回本などいろいろある。清代初期,金聖嘆は宋江らの帰順以下の部分を削って70回本をつくり,大いに流行した。水滸伝は108人の豪傑がいかにして梁山泊に集まったかの物語が集大成されたものである。それらの物語は長いあいだかかって民衆によって育てられたもので,いわば民衆文学の傑作である。それだけに反体制的・反権力的な思想がこめられており,多くの人々に愛好されて今日にいたった。清代ではしばしば発売禁止の措置がとられたが効果はなかったという。日本でも江戸時代以来,翻訳や翻案が行われ,日本文学にも影響を与えた。諸版本の先後相関の解明や,構成の変遷,文体の研究,史実との関連究明など,水滸伝に関する研究は今なお内外ともにさかんである。〔参考文献〕宮崎市定『水滸伝−虚構のなかの史実』中公新書1972,中央公論社