●沈約 しんやく
アジア 中華人民共和国 AD441 南北朝時代
441〜513(宋元嘉18〜梁天監12) 中国南朝の文人。呉興武康(浙江省武康県)の人。字は休文。宋・斉・梁3王朝に仕えた。呉興武康の沈氏は,江南土着の寒門豪族であったが,南朝期にいたり武門豪族として著しく台頭した。しかし,南朝時代は貴族制の全盛期であり,文人優位の社会であったため,武人として台頭した沈氏も文人への願望が強まり,世代の交替とともに多くの文人を輩出することになった。そして,その代表こそが沈約その人である。約の父璞は,宋の元嘉年間に罪を得て誅せられた。このため約は,貧困のなかで昼夜を分たず勉学に励み文人としての教養を身につけ,南斉代には竟良王蕭子良の文学サロンに出入し,当時の高名な文人と交遊した。梁代には署名な文人としての地位を確立し,武帝の親任を得て吏部尚書,尚書左僕射等の高官を歴任した。また『宋書』,『四声譜』等を撰したことでも有名である。〔参考文献〕大川富士夫「南朝時代の呉興武康の沈氏について」『立正史学』50,1981
吉川忠夫「沈約の伝記とその生活」『東海大学紀要−文学部−』11,1968