●人文主義 じんぶんしゅぎ Humanism, Humanismus, Humanisme
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ヒューマニズムの訳語。いわゆるヒューマニズムには,ほかに人間主義,人本主義,人道主義という訳語があるように,非常に広範囲の思想傾向を含意する。すなわち,ルネサンス期のヒューマニズムから宗教改革,18世紀の啓蒙主義,19世紀後半の新しいヒューマニズム,さらには現代のヒューマニズムまで。しかし,人文主義の訳語で示される内容は,一般にルネサンス期の文化運動を指し,ルネサンスとは,古代の再生した時代ととらえることができる。15〜16世紀のヨーロッパにおいては,中世の封鎖的な経済が打破されて東方貿易が盛んとなり,イタリアやドイツなどに商業都市が栄える。これを背景に,ローマ法をはじめとする古代の遺産が復活するが,一方でローマ教会の権威が揺らぎ始める。この中から,古代の文芸を復興しようとする運動が高まってくる。すなわち,中世以来の神学中心の学問体系に対抗し,古代の学芸を復活させることによって,自然の人間性をよみがえらせようとしたのである。ヒューマニズムという言葉も,〈もっと人間らしい〉(フマニオール humanior−人間的というラテン語の比較級)という言葉から生まれたといわれる。この文化運動は,具体的には,古代の諸作品の収集と学問的研究,それらの作品を模範とする文学的創作活動などとして展開された。たとえば,人文主義の先駆者とされるペトラルカは,ベルギリウスやホラティウスの古写本を収集し,古代人を理解することに情熱を傾けた。彼らはこうした研究と活動を通して人間性の陶冶(とうや)をはかろうとしたのである。この人文主義の精神は,ルネサンスの拡大とともにアルプスを越えてヨーロッパ全土に波及し,エラスムスやモンテーニュらに影響を与えた。歴史的運動としての人文主義は,ペトラルカを先駆者とし,モンテーニュを終局に立つ者とするのが一般的である。