●心中天の網島 しんじゅうてんのあみじま
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世話浄瑠璃。近松門左衛門作。1720年(享保5)大坂竹本座で初演。同年10月14日の夜,大坂天満の紙屋治兵衛と曽根崎新地の遊女小春とが,網島の大長寺で心中した事件を素材としている。治兵衛は女房・子供のある身でありながら,遊女の小春と馴染み,心中の約束までしている。治兵衛の兄孫右衛門は武士に化け,小春の心を聞き出し,小春と治兵衛との縁を切らせる。が,小春は,治兵衛の妻おさんに義理立てして治兵衛との縁を切り,敵役の太兵衛に身請けされた後死ぬつもりだった。それを知ったおさんは,小春の死を防ぐために身請けの金をつくるが,父五左衛門に妨げられてしまう。どうにもならなくなった治兵衛と小春とは,網島の大長寺で心中する。このような作品展開のなかで,治兵衛の苦悩,小春とおさんとの女同士の義理,孫右衛門の兄弟愛などを浮かび上らせ,見せ場の多い優れた作品としている。近松浄瑠璃の傑作の一つに数えられる作品である。