●新猿楽記 しんさるがくき
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芸能・往来物。11世紀初頭成立。藤原明衡(あきひら)著。内容の点から,明衡著を疑う説もある。西京の右衛門尉一家の猿楽見物という形式をとり,当時の芸能や社会生活の一端を書き記した,往来物である。たとえば侏儒舞(ひきひとまい)・傀儡子(くぐつまわし)・独相(ひとりずもう)などの,種々の演戯をあげている。さらに,当時の有名な猿楽者の評判も書かれている。形能という猿楽者が,舞台に上がると〈未ダソノ詞ヲ出サザルニ,万人ノ頤(おとがい)ヲ解ク〉と記され,徳島という人物については,初めのうちは良いが〈末ハ秀句無シ〉と記されている。「秀句」つまり,しゃれ・地口が,当時猿楽芸の重要な一部分であったことがわかる。そのほか,装束の名称・相撲の手・医者の方,美人や醜女の相,書家の状・楽器の名など,当時の人々の生活にかかわる,さまざまな名称が列挙されてもいる。その意味では,往来物的性格が強いといわれる。