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●神護寺薬師如来像 じんごじやくしにょらいぞう

アジア 日本 AD 

 本像は初め旧神願寺の本尊であったといわれる。延暦年間(782〜806)の作(国宝)。像高169.7cm。肉髻がうず高く盛り上がり,大粒の螺髪が植え付けられている。半眼のみすえるような眼は彫眼。両手は臂を曲げ,左掌には薬壺をのせ右手は施無畏印を結んで蓮華座上に立つ。上膊部の衣文は大きく深く刻まれ,太い両腿から膝にかけて正面に平滑な面をつくり,それをとり囲むように長円形のひだを重ね,両脚のあいだや袖にはU字形のひだを連ね,下方の衣端が波形にひるがえっている。螺髪と両腕先のほかは,台座・蓮肉にいたるまで桧の一木から彫り出してあり,まったく内刳りはなく重量も大きい。顔面の若干の彩色以外はすべて無彩色の素地のままで,のみあとの美しさをみせている。天平彫刻とはまったく異なる森厳なあくの強さに,新時代の萌芽を見ることができ,弘仁〜貞観時代代表する秀作である。

〔参考文献〕『日本古寺美術全集』9,1981,集英社

倉田文作編『日本の美術』44,1970,至文堂

『文化財講座日本の美術』6,1978,第一法規