●新安商人 しんあんしょうにん
アジア 中華人民共和国 AD
中国の旧安徽省徽州府出身の商人。新安とは徽州の古名。宋代から活動が始まったが,明中期に開中法が銀納に改められ淮浙地方が塩商の活動の中心となると,地の利をえた新安商人が塩商となって揚州に進出して巨利を得た。その営業品目は塩・米・綿・木材・陶磁器・茶・墨・紙・書籍などがあったが,なかには16世紀半ばの倭寇の頭目として有名な王直のように対外貿易に従事するものもあった。一族のなかから官僚を出し政界と結託して活動をひろげ,清代には山西の票商とともに揚州の塩商は2大財閥を形成した。その資力を文化・学術の発展に活用し,乾隆年間(1736〜95)には揚州は学問芸術の一中心として栄えた。また乾隆以降には典当業(質屋)に転じるものも多く現れたが,清代後期から相つぐ戦乱・私塩の横行などから塩商の没落するものも現れた。これに代わったのが,すでに乾隆のころから上海を中心に銭荘業(旧式の商業金融)に従事していた紹興商人や寧波商人である。その地盤である上海の発展とともに道光年間(1821〜50)のころからしだいに優勢となり,いわゆる浙江財閥を形成し,19世紀末ごろには華中経済界の覇権をにぎるにいたった。