●書誌学 しょしがく
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書物に文字で表現された内容ではなく,書籍を一個の「もの」と考えて,その成立に関与する著者・年代・場所,用紙,書風や活字の書体,印刷,装本・製本,歴史など,主として形態的な内容を検討の対象とし,研究する学問。英語のビブリオグラフィーは,もと「本を書くこと」を意味するギリシア語の造語であったが,18世紀フランスの書誌学者ド=ビュールが『書誌教程』7巻を著したときから,「本について書くこと」すなわち書誌学の意へ転化したものである。書誌学の研究内容としては,以下の諸点があげられる。[1]書物の材料 たとえば粘土板などは紙のない時代にシュメール人が楔形文字を刻むのに使用している。有名なパピルスは,古代エジプトで前30世紀ごろから使用されたもので,巻物状になっており,エジプト語のみならずエジプトで使用された言語はすべて文献に残っており,とくにギリシア語・ラテン語によるパピルスはパピルス文献と呼ばれ,その研究をパピルス学と称するなど尊重されている。羊皮紙は前2世紀ごろパピルスより便利な紙として考案され,中世期にベラム(写本用羊皮紙)として15世紀まで重宝がられた。紙は2世紀に中国の蔡倫が発明し,わが国には7世紀に曇徴が伝え,これを聖徳太子が改良して独特の和紙になったが,植物繊維を原料とする紙は,化学的な改良を加えられ現在にいたっている。[2]書物の形態・様式・付属品の種類 たとえば,シュメール人の印章は円筒形である。パピルスや古い時代の羊皮紙や紙には巻物が多く,時代が下ると羊皮紙や紙をとじて製本するようになる。外箱や日本独物の帯などもある。[3]著作年代および版本の研究 版本による異同の比較検討は,[1],[2]の研究と合わせて,著作の原形へさかのぼる本文校訂の基礎作業となる。[4]書物刊行から現時点にいたるまでの歴史。[5]文字・印刷 写本ならば書風の,刊本ならば活字の研究がある。印刷技術については研究対象が多岐にわたっている。ほかにも,書物の類別,文庫や図書館に関する研究,書物の出版者に関する研究など,書物の形態に関するあらゆる研究が含まれる。これらを科学的に追求する書誌学を欧米ではとくに,分析的・歴史的書誌学といい,単に正確な記述を行う技術の習得を主とする書誌学を,分類学・列挙的書誌学という。民族の言語を基本に文献の批判的研究を行う文献学とは範疇を異にするものの,両者は互いに研究を補うものであり,書誌学もまた民族ごとに方法論の違いがみられる。中国では,文献学的色彩が濃く,すでに漢代には,朝廷の書籍を整理分類して記録にとどめる目録学が確立された。これは,本文校訂の作業である校讐学と,内容解題を伴ったものである。宋代以降は校勘学(科学的原典批判),清代では考証学に輯佚(散逸した古書を復原する作業)の学へと継承発展した。