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●触穢 しょくえ

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 不浄な事象とされる穢に接触して汚染される宗教的・呪術的な現象。古来死と出産とが不浄の典型とされたらしく,記紀神話にも,伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が死者の国の死穢に触れ祓浄することが語られ,喪屋や産屋の記事も散見する。平安初期の儀式書では人畜の死と産のほか,食肉・疾病などにかかわる触穢の忌の日限とか,触穢の機構や忌詞などが,おもに神聖の場をめぐって規定されている。一般の社会生活でも触穢の忌は早くから習俗化され,実生活の場に応じて穢は多様となり触穢もまた多面的な様相を示してくる。穢は神秘的な危険性と強い伝染力をもつのでとりわけ触穢の契機に関心が注がれる。穢との直接的な接触のほか,火・飲食・着座を媒介とする触穢の観念が著しく,なかでも同火は最も警戒される。触穢は祓浄儀礼により消除され常態に復する。近来は穢の観念が希薄になり触穢の様態も変化した。他民族にも触穢の現象はみられるがその実態は多様である。