50音順    検 索

●上宮聖徳法王帝説 じょうぐうしょうとくほうおうていせつ

アジア 日本 AD 

 著者不詳。聖徳太子の伝記を集成した1巻より成る書。皇極・天智朝にさかのぼる資料が使用されているが,今日みる如き成書となったのは平安初期であろう。内容は,太子の家系・太子の事績・太子の異名の由来・太子の死をめぐる伝説等を述べ,法隆寺金堂の薬師像光背銘・釈迦三尊像光背銘・天寿国曼荼羅繍帳銘を収めるが,とくに繍帳銘は全文が伝えられ貴重。次に太子の死を傷む歌三首を掲げた後,断片的記事が並ぶが,仏教公伝,欽明天皇以下の治世年数,太子の生没年等は『日本書紀』の欠を補い,異伝説を伝えるものとして重要である。裏書も断片的記事ではあるが,山田寺建立過程の記録は山田寺跡の発掘とともに注目を集めた。本書は,太子の仏教事績を中心に他書にない記録や異伝説が多数あり,古代史研究の史料として重要。

〔参考文献〕『聖徳太子集』日本思想大系2,1975,岩波書店

家永三郎『上宮聖徳法王帝説の研究増訂版』1970,三省堂