●シューラー
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合議(制)または評議会を意味するアラビア語で,対立概念は専制やアカビィーヤ(部族主義)であろう。元来シューラーは,イスラーム以前のアラブ部族社会の政治慣習“砂漢の民主主義”の一部。イスラームはこれを是とし,ウンマ(信仰共同体)の次元でこれを追認したもの。ただし啓示された事柄についてはすべてシューラーの対象外である。この意味で『コーラン』は預言者と信徒に合議制の慣行を維持することを命じている(3章159,42章38)。預言者自らが実践したシューラーはバドルの戦いやウフドの戦いの際の事前協議など数多く知られる。『コーラン』はウンマの統治形態について具体的にはとくに言及していない。しかしウンマと為政者との関係は,ウンマ成員間の集団意識を高めるためにもシューラーであるべきと命じている(3章159節)。一般に正統カリフ時代はシューラーがより多く実践したとされるが,カリフ職が世襲化されたウマイヤ朝やアッバース朝期には著しく制限されたと考えられている。今日の民主主義国家は一種のシューラーの形態と見られている。しかし王制のすべてが専制政治でないように,シューラーと民主主義は同義ではない。一般にイスラームの王権には,各種の専門ウラマー(宗教学者)から成るシューラーが付随している。今日耳にするシューラー委員会は,一般公務員の政府に対する苦情を審議する法廷を意味する。