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●柔道 じゅうどう

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【柔道のおこり】柔道は1882年(明治15)に嘉納治五郎(1860〜1938)によって創始された。古来より日本に伝わる武術のなかで,徳川時代に「やわら」または「体術」と呼ばれた武術,とくに嘉納治五郎が修行した天神真楊流(てんじんしんようりゅう),起倒流(きとうりゅう)の柔術の長所を取り,近代スポーツとして誕生させたのである。ただし,嘉納治五郎の説く柔道の意義のなかには,護身と体育と精神修養の三つの目的を同時にめざす教育的な要素も多い。また,柔道の技術については,とくに乱取稽古(らんどりけいこ)というトレーニング方法を取り入れたことにより,創始以来,投げ技は飛躍的な進歩をとげた。教育的モットーは「精力善用」・「自他共栄」とされる。

【柔道普及の歴史】柔道の普及,とくに国際的には1964年(昭和39)に東京で開催された第18回オリンピック競技大会の競技種目となって国際舞台に登場し,今日では国内はもとより,欧米諸国での普及が,東洋思想の流行とともに,きわめて著しい。1882年(明治15)に嘉納治五郎講道館の創業地として,東京台東区の下谷北稲荷町(したやきたいなりちょう)永昌寺内の書院を道場として門弟の教育を始めたのが講道館柔道のはじまりである。第1歩を踏み出した講道館柔道は,1885年(明治18)に警察官の教育にも取り入れられ,1887年(明治20)には海軍兵学校の必修科目となった。1897年(明治30)ころには,すでに大学・高校・中学で課外活動として実施された。1911年(明治44)にはまた,中等学校の随意科目に,1931年(昭和6)には必須科目となり,学校体育の一環としても目ざましい発展をとげた。一方,社会人の教養の一つとして,地域の町道場を中心に全国民に愛好される国技として定着していった。12畳の道場と9名の入門者からスタートした講道館柔道は,その意味からすると,今日の420畳の大道場,約200畳の小道場5,そして宿泊施設を有し,約120万人もの有段者を数えるまでにいたったことは,アマチュアスポーツ界のなかでも有数なスポーツ組織として発展した実証にほかならない。第二次世界大戦後,一時期,柔道は米軍占領下で活動を禁止されたが,1949年(昭和24)には全日本柔道連盟を結成し,会長に講道館長が就任し,戦後の柔道の復興と普及発展に大きく貢献した。また海外での柔道熱も,すでに第二次世界大戦前に柔道の父,嘉納治五郎が初代日本オリンピック委員長であったこともあり,海外渡航の機会があるたびに柔道の国際的な普及に力を尽くし,国際的なスポーツとして欧米各地に柔道の紹介をした。ヨーロッパでは,すでに1934年(昭和9)に第1回ヨーロッパ選手権大会が開催されたが,第二次世界大戦後にはとくに欧州各国での柔道熱はより高まり,柔道人口の増加とともに,欧州柔道連盟27カ国のもとで,毎年各国の選手権大会が開かれている。1951年(昭和26)12月には,国際柔道連盟が発足し,当初の加盟国が17カ国であったが,現在では113カ国に増大し,同連盟会長に松前重義が就任している。第1回世界選手権大会は,1956年(昭和31)に日本で開催されてから,すでに13回も開催され,隔年ごとに世界選手権大会が開催されている。また柔道は,ミュンヘン・オリンピック大会後,同大会の正式実施競技となり,真に世界のスポーツとしての柔道となった。国際的レベルの競技力の面からみると,第1〜3回世界選手権までの大会と東京オリンピック大会を除いて,日本選手と世界の選手の実力の差はますます接近している。このことは,競技スポーツとして柔道が世界的なスポーツに発展したということもあるが,ヨーロッパ,とくにソ連,フランス,イギリス,西ドイツ,東ドイツ,そして近年あらゆるスポーツ種目に著しい進歩をみせている韓国など,各国の猛烈な柔道選手の強化・普及と柔道技術の研究をみのがすわけにはいかない。そのうちで国民栄誉賞を獲得した山下泰裕6段が世界選手権大会3連覇,そして現在もなお198連勝と負け知らずの偉業を達成していることは,いかに彼の成績が偉大であるかがうかがえる。また,国際大会での試合形態も,当初柔道特有の無差別1階級だけであったが,東京オリンピックで4階級,第5回世界選手権大会からは6階級,そして第11回世界選手権大会では8階級まで体重別クラスの細分化が進み,レスリング競技のようになってきている。一方,試合ルールもポイント制が導入されるなど年々改定され,1本勝ちで勝敗を決する考えが支配的であった日本の柔道界にとっては,必ずしも有利な条件とはいえないのが現状である。

【柔道の技術】どのスポーツでもそうだが,柔道はとくに実際にやってみなければわかりにくい,といわれている。しかし,まったく柔道を知らない人でも,柔道の練習や試合をみると,すべての技(わざ)に一定の法則があるのに気がつく。そこで,ここにどのような技の法則,もしくは分類の仕方があるのかをあげてみた。前述のとおり,柔道には昔からの古い歴史と技の研究があり,柔道の技は,その性質の異なる投げ技,固め技,当身(あてみ)技の3部門から成り立っている。(別図[1]参照)また柔道の練習で行われる形(かた)があるが,ここでは技を中心に列挙し説明した。[1]投げ技 柔道の形のなかで,最も中心となる柔道技術で,相手を立位から投げ倒す技法であり,五つの構成から成り立つことから五教(ごきょう)といわれている。手技(てわざ)/浮落(うきおとし)・背負投(せおいなげ)・肩車・体落(たいおとし)・隅落(すみおとし)・掬投(すくいなげ)など。腰技/浮腰(うきごし)・釣込腰(つりこみごし)・払腰(はらいごし)・大腰・跳腰(はねごし)・釣腰・移腰(うつりごし)・後腰(うしろごし)・腰車。足技/膝車・釣込足・内股(うちまた)・小内刈(こうちがり)・大内刈・大外刈(おおそとがり)・小外刈・足払(あしばらい)。真捨身枝(ますてみわざ)/巴投(ともえなげ)・裏投・隅返(すみがえし)・俵返(たわらがえし)。横捨身枝/横掛(よこがけ)・横車・浮技・谷落(たにおとし)・横落・横分(よこわかれ)・外巻込(そとまきこみ)・内巻込。[2]固め技 固め技は,相手を制して,自由を失わせる技で,その方法として,抑技(おさえわざ)・絞技(しめわざ)・関節技(かんせつわざ)がある。抑技/袈裟固(けさがため)・肩固・上四方固(かみしほうがため)・崩上四方固(くずれかみしほうがため)・縦四方固(たてしほうがため)。絞技/十字絞・裸絞・送襟絞(おくりえりじめ)・片羽絞(かたはじめ)・三角絞・突込絞(つっこみじめ)。関節技/腕緘(うでがらみ)・十字固・腕固・腹固。[3]当身技

人体の急所を打ち,そして自由を失わせる技で,今日では練習,試合などでは禁止されているため,ほとんど練習もされていない。打技(うちわざ)/拳当(こぶしあて)・手刀当・その他。突技(つきわざ)/拳当・指先当・肘当(ひじあて)。蹴技(けりわざ)/膝頭当・蹠頭当(せきとうあて)・踵当(かかとあて)。以上の三つの部門によって柔道の技術が構成されている。柔道スポーツではとくに,投げ技,固め技が中心となって,日常の柔道の練習が行われている。また危険防止のためにも当身技を除いた投げ技,固め技で試合規定により試合が行われる。

【試合ルール】近年ますます柔道が国際化し,また柔道の試合が国内外で頻繁となると,柔道の試合ルールの改定が重要な問題となっている。とくにほかのスポーツ競技ではみられない現象として,講道館柔道試合審判規定(おもに国内試合に多く適用されている)と国際柔道連盟試合審判規定が多少なりとも,相互に見解の違いがある。これは,各国共通の規則が講道館柔道から改定されていったにもかかわらず,国際化が進むなかで変化していったことによるものである。ここでは,国際柔道連盟試合審判規定(1978年12月ロンドン総会)の概要をあげてみた。[1]試合場 試合場の広さは,最小限14m四方,最大限16mとし,畳または畳に類するものを敷きつめねばならない。また場内と場外区域を分け,その境界を危険地帯と呼び,約1mの幅で赤色の標識で表示せねばならない。赤色の危険地帯を含め,内側を場内と呼び,広さは最小限9m四方,最大限10m四方とする。外側は場外でその幅は2m50cm以下であってはならない。(別図[2]参照)[2]試合時間試合時間は,3分から20分のあいだで,あらかじめ定める。ただし,この試合時間は特別の場合には延長できる。[3]審判員 審判員は,通常主審1名,副審2名で行われる。[4]公式合図 審判員は,宣告の際,規定した動作を示さなければならない。(別図[3]参照)[5]1本の判定「1本」の判定は次の場合に与えられる。投げ技/(1)技が相当の勢いで,相手をあお向けに倒したとき。(2)あお向けの相手を肩の高さに抱き上げたとき。固め技/(1)「まいった」と発声するか,相手が手か足で2度合図したとき。(2)「抑え込み」と宣言があって30秒間相手を抑えたとき。(3)絞技と関節技で技の効果が十分なとき。以下「技あり」「有効」「効果」があり「優勢勝ち」がある。これは,「技あり」「警告」「有効」「注意」があったとき,または試合内容を総合的に比較して,両者に僅少の差を認めたときをその基準として判定する。

〔参考文献〕講道館編『講道館柔道』1966,講道館

老松信一『レジャーを豊かに−柔道の楽しみ方』1968,西東社

川村禎三『スポーツ入門双書−柔道』1979,ベースボールマガジン社

曽根康治監修『ドゥスポーツシリーズ・柔道』1980,日本文芸社

高橋勝馬『BRUMMELL−スポーツ・柔道10−2』学習研究社

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