●十三仏信仰 じゅうさんぶつしんこう
アジア 日本 AD
日本の庶民の尊崇を集め,かつ最も親しまれている13の仏の信仰。宗派とは無関係であるが,真言宗では檀信徒の日用経典にも十三仏の真言が取り入れられ最も盛んである。十三仏の信仰は,中国や朝鮮半島にはなく,日本独自の庶民信仰で,したがって,成立の根拠となる経典もなく,長い年月のうちに自然に成立,普及したものである。最初大和地方からおこり日本各地にひろがったようである。初めは(鎌倉期と推定される)9仏とか10仏が1枚の石に刻まれていたのが,室町期になって現在の十三仏の仏像が確定したものと思われる。現存する最古の石碑は1479年(文明11)の銘を有する信貴山のもので,1539年(天文8)の銘を有する天理の浄土院,1555年(天文24)の銘を有する同じくキョ※注1※原大念寺のものが有名である。1石13仏の場合,3体ずつ4段に並び,最上段に虚空蔵菩薩を置いているものが多く,画像の場合は,この形式に加えて十三仏来迎の形式をとっているものもある。十三仏石碑は,寺の門前(のちには寺内)や村の入口などに立て,先祖の冥福と仏の加護による招福除厄を祈ったのが始まりであるようである。十三仏とは(白丸1)不動明王,[2]釈迦如来,[3]文殊菩薩,[4]普賢菩薩,[5]地蔵菩薩,[6]弥勒菩薩,[7]薬師如来,[8]観音菩薩,[9]勢至菩薩,[10]阿弥陀如来,[11]阿シュク※注2※如来,[12]大日如来,[13]虚空蔵菩薩をいう。この十三仏に死者の忌日が配当され,初七日(不動明王)・二七日(釈迦如来)・三七日(文殊菩薩)・四七日(普賢菩薩)・五七日(地蔵菩薩)・六七日(弥勒菩薩)・七七日(薬師如来)・百ヵ日(観音菩薩)・一周忌(勢至菩薩)・三回忌(阿弥陀如来)・七回忌(阿シュク※注2※如来)・十三回忌(大日如来)・三十三回忌(虚空蔵菩薩)とされ,その忌日の守護仏とされている。これは『十王経』(現存するものは僞経)にいう“冥土の十王”(白丸1)秦広王,[2]初江王,[3]宋帝王,[4]伍官王,[5]閻魔王,[6]変成王,[7]泰山王,[8]平等王,[9]都市王,[10]王道転輪王,に同じく冥界をつかさどる三王,蓮華王・祇園王・法界王を加え,十三仏のそれぞれが冥界に姿を現じたときの名とするもので一種の垂迹説的発想によるものである。また一説に顯経の九仏,南面仏(釈迦・文殊・普賢)・北面仏(弥勒・地蔵)・東面仏(薬師)・西面仏(阿弥陀・観音・勢至)に密教の四大主仏(不動・阿シュク※注2※・大日・虚空蔵)を加えた十三仏という説もある。さらに13仏中8仏が十二支の生まれ年に配当され,生涯の、“守り本尊”とされている。子(ね,ねずみ)年に観音菩薩,丑(うし)・寅(とら)年に虚空蔵菩薩,卯(う,うさぎ)年に文殊菩薩,辰(たつ)・巳(み,へび)年に普賢菩薩,午(うま)年に勢至菩薩,未(ひつじ)・申(さる)年に大日如来,酉(とり)年に不動明王,戌(いぬ)・亥(い,いのしし)年に阿弥陀如来がそれである。こうして先祖供養と現世利益の両面から十三仏の信仰は広く庶民のあいだに普及し,近年では,13仏のそれぞれを祀る寺院の巡拝が四国や京都・奈良・大阪・秩父など各地で盛んに行われるようになった。
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