●十月事件 じゅうがつじけん
アジア 日本 AD1931 昭和
1931年(昭和6)陸軍の桜会の一部急進分子によるクーデタ未遂事件。一名「錦旗革命事件」。三月事件以後陸軍内部には国家改造の気運が高揚し、橋本欣五郎中佐・長勇(ちょういさむ)少佐・田中弥(たなかわたる)大尉らは、近衛・第1両師団より兵力を動員、10月21日(橋本の手記によると23日夜)を期して首相官邸の閣議を急襲、若槻礼次郎首相以下の閣僚を暗殺、陸地測量部に「錦旗革命本部」と書いた旗を掲揚、荒木貞夫中将を首相とする内閣の実現を画策した。しかし荒木はその謀議には無関与、またその陰謀は事前に漏洩、10月17日憲兵隊が関係者を一斉検挙、クーデタ計画は未発に終わった。首謀者の橋本は重謹慎20日、長・田中は同月10日に処せられ、他の関係者は転任させられただけで処置は終結した。この事件の計画は、二・二六事件の先駆をなす。
〔参考文献〕今井清一・高橋正衛編『現代史資料』41、1963、みすず書房
中野雅夫『橋本大佐の手記』1963、みすず書房