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●シャー=ナーメ

アジア イラン・イスラム共和国 AD 

 叙事詩人フィルドゥースィーが,10世紀ごろまでに著された散文・韻文の資料を用い,30年かかって1010年に完成させた大民族叙事詩。ペルシア語で『王書』または『列王伝』を意味する。

 ほぼ5万5,000対句よりなるこの書の内容は,イラン建国からササン朝の滅亡(651)まで4王朝,50人の王の治世を骨子とし,イラン古来の伝承にもとづく神話・ロマンス・武勇伝・説話・歴史物語などである。ササン朝の部分はほぼ史実にもとづいて著されてはいるが,歴史の資料としての価値はほとんどなく,古典文学として,または民族学的資料として高く評価されている。独特の節回しで,さわりの部分を語る“王書語り”により,古来大衆にも広く親しまれており,伝統のイラン古式体操は,『王書』の吟詠に合わせて行ってきた。この書のなかで語られているイラン的思惟思想は,のちのペルシア文学作品のなかに継承され,教訓や箴言は現代にいたるまでイラン人の日常生活のなかで語り継がれている。