●ジャータカ
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釈尊の前生物語を意味し,九部経・十二部経におさめられている。本生経・本生話・本生譚などとも呼ばれる。釈尊の入滅後,仏教徒がその人格を讃仰し,ますます超人的なものとする傾向が生まれた。当時成立した輪廻・業の思想と結びつき,釈尊は前生においてすでに仏陀となるべき功徳を積み,因縁を結んでいたとして,かような本生話が考え出されたのであろう。大衆の心情に訴え,文芸的にも親しみやすくかつ文学的な価値も高い点で,僧侶の説教の補助材料として使用され,または教訓的な物語として大衆のあいだに語り伝えられたものである。ジャータカは前3世紀にはその一部が成立していたと思われる。南伝(パーリ語)では500余の物語が収録されており,サンスクリット語によるものも残されている。同様に漢訳経典では『六度集経』『賢愚経』などにも多く収録されている。また,物語としてはヨーロッパの民話・『千一夜物語』・中国の『冥報記』・日本の『日本霊異記』『今昔物語』のなかにも翻案されている。また,このモティーフは,仏塔の柱間や欄楯の浮彫,さらにインドや中央アジアなどの洞窟の絵画に残されている。