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●沙石集 しゃせきしゅう

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 鎌倉時代の説話集。著者無住は1279年(弘安2)にこの本を書き始め,しばらく中断してから,1283年(弘安6)に書き継いで完成した。第5巻までが初めにでき,中断後に残りができたらしい。沙石集を仏教思想からみると,修行を重んずる考え,大乗仏教の空の思想,天台宗の三諦円融の思想,世俗への執着を否定する考えが,表れている。また仏教の各宗派の共通性を説き,宗派間の争論を抑えようとする態度が,各所に表れている。無住は臨済・真言の両宗をとくに学んだ僧といわれているが,その両方を兼合し融合しようとするところに,独特の立場がよく示されている。無住以外に,このような立場を取れる人が,そう多くいるとは思われない。巻1に,神仏習合・本地垂迹に関することが多く記されているのも,そのようなことの表れである。無住は,上野国の長楽寺を開き,武蔵国の慈光寺の梵鐘をつくり,関東の寺院造営にかかわりの深かった栄朝の孫弟子にあたる人である。