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●島 しま

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 周囲を完全に水圏に囲まれた,大陸ないし本土に比べて相対的に面積の小さい陸地をいう。世界的にはグリーンランドより小さい陸地を島と呼び,日本では本州・北海道・九州・四国につぐ面積の佐渡ケ島以下を島と呼びならわしている。

【分類】島は,分布形態からみて,1島だけ孤立して存在する孤島,複数の島が集まる群島・諸島,列状に島がつらなる列島などに分けられ,本土から隔絶した島を一般に離島という。また地質的成因からみて,大陸棚上にあり,地質的には大陸の一部とみなされる陸島,大洋上にあって大陸とは成因を異にする浮島に分けられる。日本やイギリスの島々などは前者に,ハワイ諸島やポリネシアの島々などは後者に属する。

【島の経済とその変化】日本の島は佐渡・隠岐・壱岐島など少数の島を除けば,一般に面積は小規模で,広い平野や水資源に乏しい。そのため農業,とくに水田稲作の発達は遅れ,畑作に依存する自給的農業が中心となってきた。一方,島は四囲を海に面するため漁業には有利な点がある。しかし,一般には港湾設備が十分に進んでおらず,交通・運輸機関が不安定であったり,経済市場が近くにないことにより,この方面での発達も遅れがちである。なかには,瀬戸内海の島々に例をみるように,柑橘類の栽培や造船業のような農・工業を大きく発展させた島もあるが,総じていえば比較的零細な半農半漁に頼らざるをえないところが多く,島の経済や生活の面での後進性がしばしば問題とされてきた。こうした島の生活における停滞性を克服していくために,1953年には「離島振興法」が公布・施行され,以後今日まで,多くの島で交通・通信・産業・福祉施設などの整備が徐々に進められてきている。ところで,日本の島の多くは1960年以降のネイションワイドな高度経済成長をインパクトとして,生活の様相を大きく変えてきている。一つには,とくに若年層の島外流出が著しく,ひいては挙家離島を促し,激しい過疎化現象をひきおこしていることである。鹿児島県トカラ列島の臥蛇島のように,ついには1970年に無人化した島がある。また一つには,高度経済成長期とともに始まるいわゆる離島観光ブームに伴い,観光開発を推進したり,観光者を受け入れるための民宿経営に産業の主力を転換した島が増加している。東京都伊豆諸島などはその一例である。こうした過疎化と観光開発の接点に立つ島のなかには,沖縄県小浜島のように,島の土地の多くが大手観光資本の手に渡り,島民の手を離れたところもある。島の産業や生活は,その島の置かれた生態的条件とかかわりながら変化が著しい。

【島の民俗文化】島は一般に交通が不便で,外部地域からの新しい文化の流入が限定されるため,古い生活様式や民俗文化をとどめやすいといわれる。そうした島の文化の性格を明らかにすべく,1950年から3カ年間,柳田国男の指導のもとに民俗学研究所によって全国30余島の民俗文化調査が実施された。その成果は『離島生活の研究』(1961)として発表されているが,本書によって,当時多くの島では,たとえば若者組などの組織を含む村落制度,隠居制などを含む家族制度や婚姻制度,古くから伝えられる漁業技術,また巫女の活躍や島固有の民間信仰・祭祀行事などが広く行われていたことがうかがえる。今日も,島には民間信仰や祭祀行事の面で比較的古い習俗や考え方が持続されている場合が多いが,とくに社会・経済的な面での習俗や慣習は,その後の島の置かれた社会・経済的変化に伴って消滅したり大きく変化している場合が多い。全般的にいえば,今日なお古くからの民俗文化が相対的に保持されているのは,奄美・沖縄諸島や佐渡・壱岐・対馬などのように,歴史が古く,人口・面積が比較的大規模な島々であろう。本土に近い島,人口・面積の小規模な島ほど社会・経済的な変化も,民俗文化の変化も,1960年代以降急激である。

【参考文献】日本民俗学会編『離島生活の研究』1966年,国書刊行会