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●市舶司 しはくし

アジア 中華人民共和国 AD 

 中国の海上貿易関係の事務を担当する役所のこと。起源は唐にさかのぼり,714年(開元2)以後に市舶使・押蕃舶使の名がみえる。しかし市舶司が真に重要な意味をもつようになるのは宋代からである。宋になると南海貿易が進展するが,それに伴って制度も整った。最初は兼職であったものが,やがて中央から直接に官を派遣するようになり,場所も唐代の広州以外に泉州・温州・明州(寧波)・杭州・秀州・密州などの地に置かれた。職務は内外商人の出入国の手続き・保護・取り締まり,貨物の検査,徴税,禁制品の取り締まり,官買品の買い上げ,官吏の不正取り締まり,外国使節の接待など,貿易業務全般から外交にも及ぶ広範なものであった。元代になると市舶提挙司と呼ばれ,泉州・広東・慶元(寧波)の3カ所に置かれ,明代にも泉州・明州・広州の3カ所に市舶提挙司が置かれた。ただ明は朝貢制度をとり,一方で倭冦に対する防御策もあって中国人が外国人と貿易をしたり海外渡航したりするのを禁ずる海禁政策をとっていた。したがって市舶司の貿易に果たす役割は低く,貿易は多く密貿易の形をとっていた。嘉靖年間になって倭冦の活動が激しくなると,市舶司も広州だけを残してほかは廃止されるにいたった。清代には市舶司はなく,広州に海関が置かれたのみであった。

〔参考文献〕桑原隲蔵蒲寿庚の事蹟」『桑原隲蔵全集』1968,岩波書店

藤田豊八「宋代の市舶司及び市舶条例」『東西交渉史・南海篇』1974