●市場調査 しじょうちょうさ
AD
企業が製品を供給するにあたって,事前に需要を予測するために行う調査。マーケット=リサーチとマーケッティング=リサーチとを区分する考え方がある。それによれば,前者は,特定の製品の流通状況の統計資料を収集し,整理・分析することによって,大都市と農村とでの購買動向に相違がみられる地域特性,あるいは,若年層と老年層とでの年齢層別による選好の相違,収入の高い層と収入の低い層とで消費傾向に特色がみられるか,などの消費者特性の把握,また,時間や季節の変化に伴う購入量の差異,販売する店舗の立地条件,店舗内での製品の配列にみられる売れゆき特性などから,製品が購買される市場特性を明らかにすることをいう。それは現状の正確な把握を行う静態的分析にとどまっており,製品の需要の所在を明らかにするというよりも,それを確認することで需要量に見合った生産計画をたてることができる。ひいては,返品率を下げて,無駄なく適正な供給を可能にし,生産の過剰によるダンピングを防ぎ,需要に伴う供給が企業の利潤を望ましい状態に保つといえる。しかしながら,技術革新に伴う産業化の進展は,大規模な生産施設によって,迅速で正確に原料を節約した大量生産を行うことを可能にし,廉価な製品が市場に溢れた。そこで,多くの製品を消費者に購入させるために,マーケッティング=リサーチの手法が採用された。この調査は,産業社会・情報社会に対応した企業の経営戦略を支える。その結果が大衆消費社会をもたらした。換言すれば,需要を掘りおこす市場創造も,この概念には含められる。それは,購買意思がない人々にも購入を動機づける。つまり,ステータス=シンボルとしての製品としたり,流行させることで依存効果によって製品を購入させることになる。そのために,マス=メディアに依頼して,新聞広告,ラジオのCM,テレビのCFが行われる。しかしながら,この効果を高めて購買意欲をそそらせ,購買行動をおこさせるには,消費者が特定の製品について抱いているイメージを把握しなければならない。官公庁などの既存のデータを分析することにより,市場動向は把握されるが,特定の製品については消費者を直接調査する必要に迫られる。それにはまず質問紙による意識調査がある。それは,時間・費用・地域範囲・質問項目の制約で,いくつかの方法がある。まず,面接法は,調査員が質問を直接に対象に行って回答を得るから回収率は高い。しかし費用と時間はかかる。また,調査員の応対によって,微妙な影響を回答者は受けやすい。郵送法は,多くの調査対象に比較的費用をかけずに行えるが回収率は低く,回答も対象者が行ったかどうかは確かではない。留置法は,郵送によるか,調査員が直接に対象者に配布をして後日に回収する。面接する時間を省けるが,対象者が回答したかどうかの確認は難しい。しかし,回収率は高い。電話法は,調査はしやすいが会話によるから質問項目は簡潔になる。そしてサンプリングの仕方で,調査対象の動向が把握される。また,特定の調査対象を一定期間ごとに継続して調査するパネル法や,特定の製品について購入した理由を自由な会話によったり,他の人が購入すると思われることを聞く動機調査法,また,消費者が店舗で製品を購入するのを直接観察することによって,需要の特性を把握しようとする観察法がある。このようにして得られたデータを分析して,経営戦略に活用できる報告書として提出する。その結果,消費者の諸属性が判明する。それは,新たな製品開発へのデータとなり,既存の製品を販売促進するための市場特性を明らかにし,広告効果のあるマス=メディアや地域や時間をも定められ,市場創造をもたらす。JRの“フル=ムーン”,広告やデパートの年齢層を絞った販売施策などは,製品の市場特性による販売から,消費者の特性に合わせた市場創造による販売拡大である。このように,現代のマーケッティング=リサーチは,市場調査での市場開拓よりも積極的な意味を含んでいる市場創造ともいえる手法を発展させた。〔参考文献〕フィリップ=コトラー,村田昭治監修『マーケッティング・マネージメント』1983,プレジデント社