●資源ナショナリズム しげんナショナリズム
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資源ナショナリズムとは多国籍企業や先進工業国による資源の乱掘,利益独占などの経済的支配に反対し,重要資源について国有化や民族資本の経営参加を求めるといった,資源産出国による自国の天然資源に対する主権確立の思想と運動のことである。資源ナショナリズムの萌芽は,1962年の国際連合における「天然資源に対する恒久主権の権利」の宣言のなかにみいだされる。この宣言は,[1]天然資源が保有国に属し,資源保有国の国民的発展と福祉のために用いられるべきこと。[2]資源開発に従事する外国資本の活動について,資源保有国が種々の条件・規制を課すことができること。[3]資源開発により得られた利益は,投資側と受入国側との協定に従って配分されねばならないことを内容とするものであった。【資源ナショナリズムの高揚】資源ナショナリズムが大きな高まりを示したのは,1970年代に入ってからであり,とくに1973年10月の第4次中東戦争に伴うOAPEC(アラブ石油輸出国機構)の特定国内け石油輸出禁止宣言,OPEC(石油輸出国機構)の石油価格引き上げが大きな契機となった。ここに開発途上諸国が先進国経済に不可欠な天然資源を保有していることを背景として,自国の権益が十分に保障されるような新しい国際経済秩序づくりに取り組むという資源ナショナリズムの動きが活発化したのである。こうした動きは石油のみではなく,各種の天然資源にOPECにならう生産国,輸出国の同盟化の動きがひろがっていることや,開発途上国の積極的な主導のもとに「新国際経済秩序樹立に関する宣言」が採択されたことによく表れている。
【資源ナショナリズムと資源カルテル】この「新国際経済秩序樹立に関する宣言」は,1974年の国連資源特別総会(第6回国連特別総会)において採択されたもので,この宣言には,[1]いかなる国も自国の天然資源を保護するために国有化や所有権をその国民に移転する権利をもつこと,[2]天然資源の効果的な管理や自国の状況にふさわしい手段により開発を行う権利をもつことといった資源の恒久主権の原則がうたわれている。事実,1970年代に入って以降,石油,ボーキサイト,銅などの重要資源について,その生産に携わる多国籍企業への“事業参加”あるいは“国有化”が世界的にひろがった。しかし,開発途上国が価格の決定権を握るためには,国有化だけでは十分でなく,天然資源生産国間の約束がなければ不可能であった。ここに,石油にならって,ボーキサイト,水銀,鉄鉱石などの生産国・輸出国同盟が形成されたのである。現在設立されている主要な生産国・輸出国同盟としてはOPEC(1960設立)のほかに,OAPEC(1968),CIPEC(銅輸出国政府間協議会,1968),ANRPC(天然ゴム生産国連合,1970),IBA(ボーキサイト生産国機構,1974),UPEB(バナナ輸出国機構,1974),IGMPC(水銀生産国グループ,1974),SEALPA(東南アジア木材産出業者協会,1974),AIOEC(鉄鉱石輸出国連合,1975)などがある。現在,長年にわたる植民地主義,強大な経済力,先進的な技術を背景に,開発途上国の資源を収奪し,成長と繁栄を誇ってきた先進工業国の経済的基盤は,資源ナショナリズムの高まりのなかで根底からゆるぎはじめている。
〔参考文献〕川田侃『国際関係の政治経済学』1980,日本放送出版協会
西新『資源カルテル』1979,教育社
西川潤『南北問題』1979,日本放送出版協会