●地狂言 じきょうげん
アジア 日本 AD
地芝居・村芝居などとも呼ばれ,地方民間に伝承,定着した歌舞伎芝居をいう。地域は,ほとんど全国に及んでおり,古くは享保末年ごろから行われていたが,とくに盛んだったのは,幕末から明治中期ごろまでで,その後しだいに衰え,第二次大戦前後にほとんど上演不能となった。旅役者や地元の役者による半玄人的なものもあるが,多くは土地の若者組,青年団が小正月,盆,祭礼や農閑期などの短期間,五穀豊穣や雨乞い,死者の供養を願って上演した。舞台は,常設のもの,仮設のもの,山車,船舞台など移動式のもの,また,回り舞台,せり,特殊な機構をもつものなど種々ある。なお,雨乞い芝居として「天神記」「源平帝引滝」などが上演されたが,場所によっては,岐阜県各務原の「おがせ一代記」や兵庫県葛畑の「傘松峠」のような,その地域独特の狂言が用意されていることもある。京都の壬生狂言,千葉の鬼来迎,青森の鮫神楽なども一種の地狂言と考えられる。