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●私擬憲法 しぎけんぽう

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 私擬憲法とは,大日本帝国憲法の制定の前に,政治家や民間人の手によって起草された憲法草案のことをいう。語義のように「ひそかに憲法に擬」せられたのである。憲法案については,すでに幕末に西周(にしあまね)や津田真道(つだまみち)らの憲法案があり,1872年(明治5)の青木周蔵の『大日本政規』,翌年からの元老院の国憲案があるが,憲法論議が盛んになされるようになったのは1879〜80年ころからである。自由民権各派は,欽定憲法を制定しようとする明治政府に抗して,憲法草案に力を尽くすこととなった。各派の憲法草案は,矢野文雄馬場辰猪らの交詢社案に代表されるのちの改進党系のものと,植木枝盛が起草に力を尽くした『東洋大日本圀国憲按』(大阪立憲政党),『日本憲法見込案』(立志社)に代表されるのちの自由党系のものとがあった。改進党系のものは立憲君主制的議会主義の立場であったが,自由党系のものは一院制,基本的人権の無条件保障,抵抗権など民主主義的であった。