●シヴァしん
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ヒンドゥー教3大主神の一つ。“シヴァ”は,もともと吉祥・幸福を意味する形容詞で,『リグ=ヴェーダ』では,暴風神ルドラの尊称に用いられていたにすぎない。その語が,やがてルドラと同一視されるようになり,原住民の神とも結合して独立し,叙事詩以降はヴィシュヌ神とともに一般に広く信仰を集めるようになった。シヴァの前身ルドラが,季節風の強烈な破壊力と,その後の恩恵を象徴するように,シヴァもまた破壊神として恐れられるとともに,その後にきたる再生の生殖の“吉祥の神”として親しまれ,リンガ(男根)崇拝やシャクティ(性力)崇拝とも結びついた。彼はまた,南インドではナタラージャ(舞踊の王)と呼ばれ,そのダイナミックな舞踊は,宇宙の力や秩序を象徴するといわれる。神話に登場するシヴァは,手に必殺の弓と三つ叉の戟をもち,首に蛇と髑髏を巻き,虎の皮を腰につけた怖しい殺戮者“マハーカーラ(大黒)”であり,“三つの眼をもつものへ”“頭上に新月をいだくもの”“青色ののどをもつもの”である。またときには,灰を体に塗ってヒマラヤ山中で苦行する“マハーヨーギー(大苦行者)”でもある。こうした特徴は,彼の強大で多様な能力を表現するものであり,実に1,008の異名をもつ。彼の妃ウマーも夫に応じて,ドゥガー,ガウリー,カーリーなどの多くの呼称をもつ。ヒンドゥー教では,創造神ブラフマーが世界をつくり,ヴィシュヌがこれを維持し,シヴァが破壊して,新たに創造が始まるとされ,3神を一体とする教義が生まれたが,民間ではシヴァ派とヴィシュヌ派の信仰が最も盛んである。なお,シヴァ神は仏典では“自在天”,“大自在天”,“摩醯首羅”として記されている。