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●三番叟 さんばそう

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 能楽の“翁”で黒式尉面をつけて,狂言方が演じる舞。翁舞のもどきとされる。それより発して近世芸能の操浄瑠璃・歌舞伎舞踊などでも盛んに行われ,多くのバリエーションが生じた。能の三番叟は,古くは三番猿楽とも呼ばれ,露払い・翁の次に出て,まず素面のまま躍動感にあふれる“揉(もみ)ノ段”を舞う。この舞の伴奏は大鼓・小鼓・笛のほかに,締太鼓が入る賑やかなもので,ついで黒式尉面を付け,鈴を渡されて激しい“鈴ノ段”を舞う。翁が厳粛な動きであるのに対し,三番叟は舞踊的要素の濃い振で,狂言方が勤めるところに特色がある。そのためもあって江戸時代には,翁より三番叟が発展。歌舞伎舞踊では三番叟物と呼ぶジャンルが生まれた。“乱典三番叟”が最も早いが,長唄・清元掛合の“舌出し三番叟”,長唄の“雛鶴三番叟”“今様四季三番叟”“晒三番叟”“種蒔三番叟”“廊三番叟”“操三番叟”,常磐津では“子宝三番叟”,清元の“四季三葉草”などが知られ,義太夫で踊る“寿式三番叟”“二人三番叟”などもある。なお,民俗芸能には人形の三番叟をはじめ,猿楽能の時代の語りを伴う三番叟が,天龍川沿いの村々に残るなど,さまざまな芸態のものが伝承されている。

〔参考文献〕能勢朝次『能楽源流考』1938,岩波書店