●山淑太夫 さんしょうだゆう
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筑紫に流罪となった父を訪ねて母と子(姉安寿姫と弟厨子王丸)とが旅の途中,人買い船に乗せられて,母は蝦夷ケ島に,姉弟は丹後の国由良の長者,山淑太夫のもとに売られる。姉弟は太夫に酷使され,姉は死ぬが弟は逃れて京にて出世,やがて山淑太夫に恨みをはらし,父母と再会するという筋の語り物文芸。丹後国由良の金焼地蔵の本地を説く話になっている。説経節で中世末から近世初めにかけて広く流布した。この話には由良の長者没落伝説があったものと思われるが,柳田国男によると,題名にある「山淑」はあて字で,その原義は「算所・産所・散所」と書かれる賤民芸能者のことだろうという。つまり散所の徒がこの語り物を伝えているうちに,語り手自身が語り物のなかに登場するようになったというのである。さて,近代に入って,この語り物は森鴎外によって小説化され(『山淑太夫』1915年発表),その文芸としての生命を再び蘇らせたかの感がある。
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