●三国志 さんごくし
アジア 中華人民共和国 AD
中国,三国時代の歴史を記した正史。65巻。西晋の陳寿の撰。魏書30巻・蜀書15巻・呉書20巻からなり,表・志を欠く。王沈の『魏書』・韋昭の『呉書』・魚豢の『魏略』の3書に多く依拠するが,蜀書は陳寿自身の撰述の比重が大きい。陳寿は晋に仕えたため三国のうち魏を正統とし,魏書にのみ帝紀を設け,魏晋禅譲についてもかばうところが多い。しかし陳寿が最初に仕えた蜀への記述も詳細,好意的で,蜀帝の名はみだりに書かず,これを先主・後主と著している。本書は記述が簡潔で文辞に生彩があり,良史と称され,『史記』『漢書』についでよく読まれた。しかし多少記事が簡略すぎたので,南朝宋の文帝が裴松之に命じて注をつくらせた。この裴注は210種に及ぶ著書を引用し,本文の簡潔すぎる点を補っている。そのなかには現在散失した書を多く含み,裴注を得て『三国志』はいっそう生彩あるものとなった。なお『三国志』魏書巻30東夷伝倭人の条(『魏志倭人伝』と通称)には,邪馬台国の記事があり,日本古代史研究の重要な史料となっている。