●三教指帰 さんごうしいき
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空海が青年期に著した最初の著作。3巻。三教とは儒教・道教・仏教の意であり,三教の中国における推移をみながら,仏教の優越を説き,聾瞽指帰ともいわれる。791年(延暦10)空海は18歳で大学に入学するが,“未来の国吏”としての儒教習得を棄ててほどなく大学を去る。その出家は忠孝の道に外れるとする親戚筋からの非難に対する反論が執筆の動機とされる。成立年には諸説があるが18歳ごろ初稿がなり,24歳で追補完成されたらしい。儒を棄て仏を選びとった思想的根拠を確たる見識で論述している。内容は,儒者亀毛先生・道者虚亡隠士がそれぞれの教を説き,最後に仏道修行中の仮名乞児(かめいこつじ)が登場,仏教の優れた内容を説く。仮名乞児は空海自身がモデルと思われ,亀毛先生は,空海が3年間学んだ叔父阿刀大足と察せられるから自伝的要素をもつ書でもある。日本最初の思想小説でもあり,特筆すべきは思想の優劣を戯曲ふうに展開した全体の構成にある。稀有の文才が示される。