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●山岳寺院 さんがくじいん

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 奈良時代の寺院が東大寺や興福寺など都市に立地したのに対して,延暦寺や金剛峯寺(こんごうぶじ)のように,主として平安時代以後に都京を離れた山地に営なまれた寺院。平安時代以前にも吉野比蘇寺(ひそでら)や大和長谷寺などの山岳寺院があり,比蘇寺には記憶力を増進する虚空蔵求聞持法を修める自然智宗と呼ばれる一群の僧侶がいたが,山林修行は僧尼令(そうにりょう)で制限されていたから,山地に立地する寺院の数は少なかった。最澄は受戒後すぐに都を離れ,郷里に近い比叡山に登り求道の生活を始めた。のち彼は天台宗修学の僧侶に12年の比叡山籠を義務づけた(「山永学生式」)。空海も渡唐するまで,大和金峯山や伊予石槌山に苦修練行した人であった(「聾瞽指帰」)。天台・真言の立宗以後,多くの寺院は山地に建立されたが,これは民族信仰に山岳を聖地とみる観念のあったことと関係がある。