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●サワード

アジア イラク共和国 AD 

 現在のイラク共和国の南部,ティグリス=ユーフラテス河による沖積平野地方をいう。アラビア語では黒色を意味するが,砂漠のアラブにとって,この地の緑が黒色に見えたことが命名の理由である。イスラーム以後,当地はイスラーム世界の産業・政治・文化の中心地として栄えた。正統カリフ時代にこの地にクーファとバスラが建設され,アラブ化が促進されたが,ウマイヤ朝の成立後,アラブによる東方経略の根拠地として,またエジプトと並ぶ2大穀倉地帯として機能した。アッバース朝の首都としてバグダードがこの地に建設されたのち,あらゆる面でイスラーム世界の中心として繁栄した。この地の重要性に鑑み,歴代の為政者は,開墾・運河の開削につとめ,農地としての生産性を高めるとともに交通網を拡大・整備した。以後,ザンジュの乱やカルマト派の反乱などの主舞台となって荒廃し,さらにモンゴル人の侵入によってそれが一層進んだ。イスラーム最初の征服地であったため,その税制は後世のそれに影響した。