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●猿蟹合戦 さるかにかっせん

アジア 日本 AD 

 動物葛藤譚の一つ。猿と蟹が柿の種と握り飯とを交換し,蟹が柿の種を育て実がなると猿が来て食い,青い実を蟹にぶつけて殺す。子蟹が栗・蜂・臼の援助を得て復讐(ふくしゅう)する,というものが最も多い報告例である。しかしこの話はそのほかにもさまざまに伝えられ,例えば合戦の援助者も所によって栗・蜂・針・包丁・卵・昆布・臼・棒などの変化がみられる。またこれに似た話型も多く,たとえば前半部は『日本昔話大成』の「猿蟹餅戦争」「猿と蟹の寄合餅」と,後半部の合戦部分は「猿の夜盗」「猿と蟹の寄合刃」「雀の仇討」などの合戦譚と類似のモティーフをもつ。関敬吾はこの話が2動物の闘争譚としての前半部および爆発・突刺・潤滑・重圧の機能をもつ援助者による仇討ちの後半部からなるとし,おもなモティーフは後半にあるとする。また柳田国男は,この話は猿と蟇(ひき)が餅を争う昔話で,本来は独立していたものが,後に蟇が蟹に変化し,合戦部分が付加したとする。この話には民俗行事の反映もみられ,柳田によれば蟹が柿を育てる呪言は,小正月の成木責めの文句が採り入れられたものという。

〔参考文献〕柳田国男「猿と蟹」『昔話覚書』1943