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●サーマッラー

アジア イラク共和国 AD 

 イラク中部,バグダードの北西約110km,ティグリス川東岸にある町。アッバース朝時代に約50年間(836〜892)首都として繁栄した。現在も重要な宗教上の要地とされるが,この町の郊外に広大なアッバース朝時代の遺跡がある。カリフ,ムタワッキルが建てたアッバース朝最古で,しかもイスラーム最大の多柱式モスクと螺旋状ミナレット・アブー=ドゥラフのモスク・バルクワーラー宮殿をはじめ多くのモスク・宮殿の廃墟がある。このうち都城址は1910〜14年に,E.ヘルツフェルトの指揮するドイツ調査隊によって発掘された。

 各遺跡から出土した遺物類は,製作年代がほぼ明確なため,資料的価値が大きい。サーマッラーの都市址の下には,先史時代の文化層がある。堆積の最下層からサーマッラー期のサーマッラー式土器が発見された。螺施階段のミナレットは世界で三つしかなく,ここにその二つがあり,遠方から望見するとなかなか幻想的である。