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●雑劇 ざつげき

アジア 中華人民共和国 AD 

 中国の古い演劇形態の名称。本来,雑劇は舞台にのぼるあらゆる芸能を呼ぶ雑戯と同じで,特定の劇をさすものではなかったが,特定の名称では宋雑劇・元雑劇・温州雑劇などがあり,それぞれ時代により内容は異なっているが,ふつうには雑戯をさす。宋雑劇は唐代の滑稽問答で終始する参軍戯の流れをくみ,簡単な筋書きで狂言のような内容を歌い踊るもので,宮廷や都市の瓦子(芝居小屋)などで上演されていた。女真族に追われ杭州に遷都した南宋でも同じ名で呼ばれたが,女真族の樹立した金朝では院本と改称された。しかし,これら台本は今日に伝わるものがない。元代に盛行した雑劇を一般に元曲と呼ぶ。この北方系の歌曲を主体とする歌劇は,院本や語り物の諸宮調などを加味しつつ,作家としての読書人が作品としても鑑賞にたえる脚本を生み演劇として成熟させた。この元雑劇に対して南方系の歌曲を主体とする南曲(南戯ともいう)の初期の名称を温州雑劇という。これは宋代に起源をもち宋雑劇の構成法と温州地方(浙江省)の歌謡音楽を融合させ編みだされた,長篇物語を演ずる雑劇である。元が南宋を平定したのち,蒙古人の支配がゆるみ科挙の復活もあって読書人の生活も保証されたのか優れた作家に乏しく,元雑劇は素朴さや真実味を欠くようになり南曲が栄え,明代後期には元雑劇の上演は絶えてしまう。