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●采覧異言 さいらんいげん

アジア 日本 AD 

 新井白石 1657〜1725(明暦3〜享保10)が著したわが国最初の世界地理書である。5巻よりなり,エゥロハ(巻之一)・アフリカ(巻之二)・アジア(巻之三,上下)・ソイデアメリカ(巻之四)・ノオルトアメリカ(巻之五)の順に組織的に世界各国の地理を漢文で書いている。全巻を通じて漢字訳世界各地の地名そのほかの地理的称呼はマテオ=リッチの漢訳にならっており,白石は各州名国の地理を説明しながら所説にいちいち典拠を明らかにしている。白石はとくに漢文で書かれたマテオ=リッチの世界図『神輿万国全図』やその説を基本資料として,ヨハン=プラウの世界図シドッチまたコルネリス=ラルダインの『甲比丹』のいうところとそれを比考しながら論じている。序文や書異言後によって1713年(正徳3)の著述という。刊本はなく,国学者岡熊臣の書写になるもので奥書に〈此書有二本先得一本文字頗誤写今歳夏大枝幸厚詣于京師借得一本於金山氏以示予此本誤写幾希因再校正手書蔵于文庫云文政十歳次丁亥晩秋念一日岡熊臣自記>とある。

〔参考文献〕宮崎道生『新井白石の洋学と海外知識』1973,吉川弘文館

佐野正巳「国学者の洋学受容」歴史公論4−3.1978