●西域物語 さいいきものがたり
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『経世秘策』『経済放言』と並んで本多利明の三大主著の一つ。全3巻,自序に寛政十戊午秋七月中旬とあるゆえ1798年の7,8月に書いたものと推定される。刊本はなく写本のみ伝わる。西域とは西洋の意で,オランダをはじめとする西洋各国の国勢・風俗・富強の原因をのべ,日本の停滞性は支那(中国)から学んだことにあるとし,国家の理想像を西洋“列強”に180度おきかえ,国とは藩体制を越えて日本全体であるとの卓見のもとに経済政策を論じた。中巻では天明飢饉(1783〜87)の現地見聞による深刻な体験を叙述。農民人口はマルサス的な“万民増殖”を“天理”とするゆえ,国産増殖が必要,だが国産には限度があり,人口には際限がない。そこで〈他国より力を抜きとる〉ことが必要,そのためには開国交易が必要,海国日本にあっては航海が必須条件,そのためには天文・地理学・算数が必要ととなえた。交易策の延長としてカムチャツカ進出を主張。地動説もとなえた。