●サイイド
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[1]長老・主人(奴隷に対する)・夫(慈悲深く優しい)・族長,[2]預言者ムハンマドの子孫の敬称(とくにフサイン系の子孫)を意味するアラビア語。前者では独裁者的性格をもった首長というよりも調停者的性格の強い長老を意味している。後者はイスラーム社会において緑のターバンの着用(シーア派は黒)を許された血統上のエリート集団に属する人々(ただし貧しいサイイドもいた)を意味した。ハダラマウドではサイイドの家系に属する人々が上流カーストをなし,社会的威信を専有してきた。彼らは特別区に集住し武器をもたず超然としていて日常のもめごとなどのもっばら調停役を引き受ける。南アラビアのサイイドの一部はインドネシアやマレーシアに分家を有している。現在では以上の敬称の意味を失いつつあり,[3]単に一般男性の敬称としてのMr.の意味で多く使われている。このほかサイイドは,[4]学問に秀でた人々の敬称,[5]預言者ムハンマドに対する敬称(とくに祈願の祈りの際に),[6]イスラーム神秘主義の聖者に対する敬称,[7]特定の王朝の支配者または高官に対する敬称(ザンジバールの王の正式敬称など)など時代により場所によりさまざまである。
なお,10世紀スペインの英雄的騎士エル=シドの語源はサイイドに定冠詞をつけたものでイスラーム側によって与えられた敬称がなまったものである。またとくにフサイン系の子孫を示すことばとしてシェリーフという敬称を用いる場合もある。