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●今昔物語集 こんじゃくものがたりしゅう

アジア 日本 AD 

 編者未詳。31巻。12世紀前半の成立。1,000あまりの説話を,天笠(てんじく)の部5巻,震旦(しんたん)の部5巻,本朝の部21巻に分けている。さらに各部は,仏教説話と世俗説話とに分類されている。表現形式は,〈今ハ昔〉で始まり,〈トナム語リ伝ヘタルトヤ〉で終わる,同一の様式が統一的に行われている。文体は,漢字に片かなを小書した宣命体(せんみょうたい)的表記による,和漢混交文体で,雅語に漢語,仏語・俗語が加わり,男性的な力強さを感じさせる。仏教説話は,仏教の成立から各国への流布の過程が歴史的に見られていて,世俗説話は,貴族をはじめ新興の地方武士から盗人までが描かれ,庶民の姿がリアルに叙述されている。本書は,近代の文学者にも影響を与え,芥川龍之介王朝物語『鼻』『芋粥(いもがゆ)』『羅生門』や,谷崎潤一郎の『少将滋幹(しげもと)の母』などが,関連の深い作品である。