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●金色夜叉 こんじきやしゃ

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尾崎紅葉の長編小説。1897年(明治30)1月から1902年5月まで「読売新聞」に断続連載、最後の『続々金色夜叉』を「新小説」(1903年1月〜3月)に掲げ、作者の病没により未完におわった。春陽堂刊、5巻。

 主人公の学生、間貫一(はざまかんいち)と鴫沢宮(しぎさわみや)とは許婚のあいだがらであったが、宮が銀行家の息子、富山唯継に見そめられたため、彼女の両親はその求婚を受けいれ、外遊を条件として貫一に宮をあきらめさせようとする。貫一は熱海の海岸で信じていた宮の心変わりを知り、絶望して行方をくらまして高利貸しの手代となり、金銭の夜叉として復讐を企てる、という内容。〈愛は黄金にまさる〉という永遠のテーマによって大衆に広く読まれ、徳富蘆花の『不如帰』(ほととぎす)と並ぶ人気作となった。 本作の素材としては、作者の親友巌谷小波の失恋事件がモデルとされるが、比較文学的には西欧文学の感化も考えられ、早くは江見水蔭の伝える幻の小説『ホワイト=リリー』があり、また、モリエールの『守銭奴』、英国のシャロット・エミリー=ブロンテ姉妹の『ジェーン=エア』「嵐が丘』などの構想からの暗示も考えられる。

〔参考文献〕伊狩章『硯友社の文学』1961、塙書房

伊狩章「尾崎紅葉とモリエール及び E=ブロンテ」『日本近代文学の比較文学的研究』吉田精一編、1971、清水弘文堂書房

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