●崑曲 こんきょく
アジア 中華人民共和国 AD
中国の劇曲の一種,〈崑山腔〉・〈崑腔〉などとも呼ばれている。明の魏良輔によって嘉靖年間(1522〜1566)の初め,従来の音曲の長所をとり入れて崑山(江蘇省)に興された腔(ふし)。最初に単なる清唱(すうたい)用であった崑曲を劇曲に用いたのは,崑山出身の梁辰魚の『浣紗記』であり,以後崑曲の流行を決定的なものとした。崑曲の曲調は流麗で曲折に富み,〈水磨腔〉の別称もあった。伴奏には笛・笙・太鼓・琵琶などが用いられ,演技は風格があり優美で舞踏性が強い。宋・元以来の戯曲を総合し最も完整した表現体系を創造し,多くの戯曲に大きな影響を与えた。作者はすべて士大夫階級に属する知識人で,17世紀末には北京にまで進出し南北の劇壇を風靡した。清代半ばの嘉慶年間(1796〜1820)になり,卑俗で華やかな節をもつ地方戯曲の発展とともに衰え京劇の付属物となったが,その要素は今日の京劇にも多く残されている。最近その伝統的な演技が再評価され始めた。