●五銖銭 ごしゅせん
アジア 中華人民共和国 AD
中国の漢の武帝(在位前41〜87)が経済の安定をはかるために鋳造した銅銭通貨で,秦の半両銭の形態を踏襲して円形方孔,銭面に「五銖」の文字が鋳印されている。銭の銷磨(しょうま)を防ぐため,表裏ともに「周郭(しゅうかく)」(ふち)がほどこされている点が半両銭と異なっている。ここに中国銭の標準形態ができあがり,唐代の開元通宝以降の貨幣にこれが継承されていくこととなる。五銖銭は,中国の古代貨幣経済の盛行を支えた最も安定した貨幣であり,長期にわたって使用され,後漢,魏晋南北朝をへて,隋代まで通用した。その間,たび重なる改鋳が行われたため,五銖銭にはさまざまな変形があった。その代表的なものは,直百五銖のような高額貨幣で,1個で五銖銭100個に値するとされたものである。武帝は,国家が人民を直接把握する方法として,人民に人頭税(賦税)を課し,その収納は,すべて五銖銭をもって行ったため,漢の全版図に五銖銭が通用することとなり,古代貨幣経済が盛んになった。