●五重塔 ごじゅうのとう
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幸田露伴の中編小説。1891年(明治24)11月から翌年3月まで新聞「国会」に連載。名人気質の大工のっそり十兵衛が,自分の親方である川越の源太の請負った感応寺の五重塔建立の仕事を,無理を押して自分一人の手におさめる。十兵衛の無体なやり口に反感を抱く源太の弟子たちは,十兵衛に遺恨をつのらせ,厭がらせをしたり,はては十兵衛に手傷を負わせたりする。十兵衛は妨害や困難にめげず,うまずたゆまず努力辛苦をかさね,ついに五重塔を建立する。あたかもその建立供養の前夜,大暴風に襲われ,十兵衛は荒れ狂う嵐のなかに,六分のみを手にして天命を待つが,塔には一分のゆるみもなかった。落成式の日,朗円上人は「江都の住人十兵衛之を造り川越源太郎之を成す」と筆太に記した。作中暴風雨の叙述は,漢籍仏典の素養に根ざす雄渾壮美な文章として名高い。作者,名人物の代表作たるのみならず,近代文学史上屈指の名作とされている。
〔参考文献〕柳田泉『幸田露伴集』解題(『明治文学全集』25)1986,筑摩書房
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