●極楽 ごくらく
AD
阿弥陀仏の浄土梵語〈suk-havati〉の訳語。安楽国,極楽国土,無量寿仏土,安養浄土ともいい,単に浄土とも呼ばれる。西方にむかって十万億の仏国土を過ぎたかなたにあり,苦しみのない楽しいことのみがある世界で,阿弥陀仏がつねに説法しているとされる。この浄土には,弥陀の救いに疑惑をいだくものが生まれる辺地,疑城,胎宮などのはずれがある。極楽を西方とすることについては,インドにおいて西は未来をさすとか太陽崇拝の影響が考えられるが,一定した学説はない。平安時代に源信が『往生要集』で地獄と対比し,貴族社会では美的・感覚的に受容され,平等院,中尊寺金色堂などが建立された。浄土信仰は,法然,親鸞の門下により念仏とともに庶民層に浸透した。一方,山中が死霊・祖霊の棲む他界と観念されたことより,山中に地獄とともに極楽が想定された。江戸時代,遊里の俗称となったが,後世には楽しい場所・状態のたとえに使用される。