●国有財産 こくゆうざいさん
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【国有財産の定義】広義には国の所有するすべての財産のことをいい,狭義には,国有財産法(1948年,昭和23年6月30日制定)第2条に定められる〈国の負担において国有となった財産又は法令の規定により,若しくは寄付により国有となった財産〉のことをいう。国有財産法に定められる国有財産の範囲は,[1]土地・建物などの不動産,[2]船舶・浮標・浮さん橋・浮ドック・航空機などの動産,[3]エレベータ・クーラーなど上記の不動産・物産の従物,[4]地上権・地役権・鉱業権やこれらに準ずる権利(採石権・漁業権・入漁権など)などの用益物権,[5]特許権・著作権・商標権・実用新案権やこれらに準ずる権利(意匠権など)などの無体財産権,[6]株券・社債券・新株引受権証券・地方債証券・投資信託または貸付信託の受益証券やこれらに準ずる外国または外国人の発行する証券,出資による権利などの有価証券,の6種類とされている(国有財産法第2条)。上の[1][2][3]は,いわゆる“物”としての国有財産であり,[4]以下は,“財産権”としての国有財産である。【国有財産の分類・種類】国有財産はその利用目的に応じて,国の行政の用に供されるために所有される行政財産と,それ以外の普通財産とに分類される(国有財産法第3条)。行政財産はさらに,その目的,用途に応じて,[1]庁舎・刑務所・国立学校・国立病院・国立図書館・国立博物館など国の事務・事業またはそれに従事する職員の住居の使用のために供される公用財産,[2]国道・河川・湖沼・海岸・港湾など,一般公衆の自由な使用のために提供される公共用財産,[3]皇居・御所・御用邸・陵墓など国において皇室の使用のために供される皇室用財産,[4]造幣・印刷・国有林野・アルコール専売など国の企業,またはそれに従事する職員の住居の使用のために提供される企業用財産,の4種類に分けられる。普通財産は,行政財産以外のいっさいの財産のことであり,その実際の用途に応じて,国が特別の法律規定にもとづき出資により取得した出資財産,国が地方公共団体において公共の使用に供するために無償で貸付をしている準公共用財産,国において,とくに保有する必要がないと認められる処分可能財産などといわれるものがある。
国有財産の管理・処分を担当する機関に関しては,行政財産は,所管の各省庁によってその管理が行われ,普通財産は,大蔵大臣によって管理・処分が行われ,また,国有財産全体の総括は大蔵大臣によって行われるものとされている(国有財産法第5〜7条)。大蔵大臣,財務局長の諮問機関として,30名の委員によって構成される,国有財産中央審議会と国有財産地方審議会とが置かれ,それぞれが,国有財産の管理・処分に関して,調査・審議・建議を行うものとされている(国有財産法第九条の2〜4)。
【国有財産の現状】昭和57年度末の国有財産総額は37兆7,623億円であり,行政財産は,22兆2,650億円(対総額比59.0%),そのうち,公用財産は14兆3,403億円(同38.0%),公共用財産は3,724億円(同1.0%),皇室用財産は5,470億円(同1.4%),企業用財産は7兆53億円(同18.6%)と内訳され,一方,普通財産は15兆4,973億円(41.0%)となっている。また土地としての国有財産は,全体で896億7,789万平方mにおよび,国土面積全体の約4分の1を占め,そのほとんどは行政財産のなかでも,とくに企業用財産に分類されるものである。金額では,10兆6,345億円と国有財産全体の28.2%を占めている。また,建物としての国有財産は,金額では4兆8,514億円と,全体の12.8%を占めている。
〔参考文献〕大蔵省昭和財政史編集室編『国有財産・営繕』昭和財政史 八,1958,東洋経済新報社
『基本法学3 財産』岩波講座,1983,岩波書店