●国際司法裁判所 こくさいしほうさいばんしょ
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国際連合の主要な機関の一つであり,主要な司法機関である。国際間の紛争を法的に解決するため,あらかじめ選任された裁判官によって構成される常設の裁判所である。国際連合憲章およびこれと一体をなす国際司法裁判所規程により,任務を行うとされる。裁判所は国連本部のあるニューヨークではなく,オランダのハーグが,所在地である。
国連加盟国は,すべて裁判所規程の当事国とされ,また,加盟国以外でも安全保障理事会の勧告にもとづいて,総会の決定する条件で,裁判所規程の当事国となることができる。
司法裁判の歴史は,第一次世界大戦後に国際連盟が成立し,この連盟の手により,1921年に常設国際司法裁判所が創設される。第二次世界大戦後は国際司法裁判所として再発足し,現在にいたっている。
裁判所は,国籍を異にする15名の裁判官によって構成され,個人的資格で候補者が選ばれて,国連の総会と安全保障理事会の行う選挙で決定し,任命される。その任期は9年である。これらの裁判官が原則としてつねにハーグにいて,常時開廷されることになっている。裁判所の法廷は全裁判官で構成する全員廷(定足数は9名)のほかに特別裁判部と簡易手続部がある。
国際司法裁判所において裁判の当事者となることができるのは,国のみに限られている。国のうち規程の当事者である国には,当然に当事者能力が認められている。個人には当事者能力は認められていない。ただし,国家の外交保護権を通して個人の利益や権利が裁判所で争われ,実質上の当事者であるかのようになる場合がある。しかし,この場合も法的には個人の権利ではなく,国家それ自身の権利として主張される。
国際司法裁判所のもう一つの重要な機能は,勧告的意見の当事者能力が認められる仕組みになっていることである。
国際司法裁判所には,選択条項制度と呼ばれる注目すべき義務的裁判制度がある。それは一定の法律的紛争について裁判所の管轄を義務的であると認める意思のある国は,その旨を宣言することができる。こうした宣言国のあいだの事件については,裁判所が強制管轄権をもつという義務的裁判制度である。今日ではこの条項を選択条項と呼ぶようになっている。
国際司法裁判所の裁判手続については,同裁判所規程に定められている規則が適用され,当事国が別段の協定によって変更することは許されない。
当事国がともに選択条項を受諾していろ場合には,当事国一方の書面による請求で,訴えを提起することができる。当事国は代理人によって代表され,審理は,書面手続と口頭手続との2段階からなる。判決その他のすべての決定は,多数決によって行い,可否同数のときは,裁判長またはこれに代わる裁判官が,決定投票権をもち,判決には理由を付ける。
国際司法裁判所は,紛争を国際法に従って裁判する任務をもち,条約・国際慣習法・法の一般原則を,この順序で適用して裁判を行う。
判決は一審をもって終結するのが原則である。もし判決の意味または範囲について争いが生じた場合には,この裁決を下した裁判所の裁判により,これを決定する。また,重要な新事実の発見を理由として,裁判のやり直しを行う再審については,国際司法裁判所規程で認められている。ただし,再審請求の期限は限定されている。
当事国の一方が,国際司法裁判所の判決にもとづく義務を履行しないときには,他方の当事国が安全保障理事会に訴えることができる。理事会は,必要と認めたならば,判決を執行するために勧告をし,またはとるべき措置を決定することができる。
しかし,この勧告や措置は,平和維持という観点から理事会の独自な判断で行われるから,判決の執行という立場からみて完全ではない。