●公孫竜 こうそんりゅう
アジア 中華人民共和国 AD
中国,戦国時代の思想家。紀元前4世紀から前3世紀にかけて活動したらしい。戦国の諸子百家のあいだで論争がつづくにつれ,論理学の必要が痛感され,各派とも論理学の研究を重視し始めた。公孫竜は思想的には仁義を重んずる儒家と,反戦兼愛を訴える墨家を兼ねる立場をとったが,彼の真骨頂は論理学にあった。彼の唱えた説で最も有名なのは〈白馬は馬に非ず〉という説である。白は色の概念,馬は動物の概念である。ゆえに白馬は二つの概念が結びついた複合概念であって,動物としての馬の概念とは異なる。この説は異なった概念の混同を防ごうとしてことさらに新奇な表現をとったものであり,後世詭弁の代表のようにいわれるのは正当な評価とはいえないようである。公孫竜の論理学はやがて墨家の一派に受け継がれ,いっそう精密な論理学として整えられた。公孫竜の著書として『公孫竜子』が伝えられているが,もちろん自著とは考えられず,文献の信憑性にも疑問がある。
![]()