50音順    検 索

●興業意見 こうぎょういけん

アジア 日本 AD 

 農商務省が同省大書記官前田正名を主任として,1884年(明治17)に完成した国民経済事情の報告書。原本は美濃判和綴30巻本で,緒言・現況・原因・参考・精神・国力・地方・方針の8編と綱領・総目録から成る。前田正名の指導のもとに,40人余りの課員が3カ年を費やして,[1]国内各地の産業事情の実地調査,[2]各種農工商統計資料の作成分析,[3]農談会や商工会への諮問,[4]維新以前の各藩の産業政策や海外の事例の調査などを重ねて編さんしたものであり,また,これらの資料をもとに,産業発展への諸弊害を除去し,1881年(明治14)以来の不況を克服し,殖産興業政策を軌道にのせる方策を検討している。方策提言の中心は,[1]資本の供給,[2]産業関連法制の整備,[3]在来産業の保護などであるが,それらと並んで,経済主体の精神の重要性を指摘している。本書は殖産興業政策の指針となった歴史的文献であると同時に,明治10年代の経済事情を具体的に知ることができる貴重な史料でもある。