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●工学 こうがく

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 工学とは,基礎となる自然科学や社会科学を実地に応用するときに,自然の事物を改変し加工するための技術を生み出すことを目的とした応用的学問の1分野である。ところで,科学は,宇宙あるいは地球世界の人間も含めた自然界を対象領域として,経験的に具象あるいは抽象化して論証するという系統的な合理的認識であり,主として数学を用い,物理学や化学などから心理学や生理学などの基礎的分野を占めている。これに対して工学は,技術を用い科学を人間社会にとって有効的に活用するために工業という形を取り,事物の生産や販売までを対象とする応用的な分野となっている。したがって,工学の内容を知るには,なによりが手法であり,時間的な流れを考えれば,まず初めに研究や開発などの企画があり,これについで設計や生産の現場があり,それぞれに運用や管理の組織がある。

 工学の対象は,科学や技術の進歩と社会の発展に応じて時代とともに絶えず変貌をつづけている。古くは兵器の製作や取り扱いと,築城や用兵など軍事的な技術の基本的手法が工学と呼ばれていた。つづいて機械すなわち「外力に対し抵抗ある物体を組合わせて与えられたエネルギーを有効な仕事に変形するもの」に対象が拡張され,機械工学が中心となり,主として物理学の基本である力学を用いて原動機・工作機械・産業機械・輸送機械などを取り扱った。

 つづいて電気が実用になり始めると,まずは動力と通信に利用され,今日では電子工学が脚光をあび,電子計算機から情報処理まで展開し停まるところを知らない。化学の分野も同様で,初めは単に天然物質の分析であったが,合成という人造物質生成の技術が開発されるや,物理学との境界はすでに消え去っており,化学工学を確立している。考え方によっては,材料工学の中心ともいえる。

 一方,あまりにも発展をとげた工学と工業により,ときには人間の生命や財産を奪う事故をおこす頻度も増え規模も拡大し,排棄される有害物質は人間環境を損うことになり,また情報の過剰は人間社会に著しい歪みを生じている。かくして最近の工学の対象は,安全工学環境工学から情報工学に移っており,その中心は人間工学であり,社会工学である。